「原発ゼロで貿易赤字」はホント? 円安誘導と原油高 原因

 2014年7月29日 東京新聞

原発停止の影響はあくまで一部にすぎない」と指摘するのは、シティグループ証券エコノミストの飯塚尚己氏。
 「原油・粗油」の輸入額はこの3年で4.8兆円増えたが、量自体はむしろわずかながら減っている。10年初めから13年末までに、原油は約4割値上がりし、為替も1ドル=90円から105円まで安くなった。つまり、輸入額が増えたのは原油価格の上昇と円安という経済環境の変化が主因で、原発ゼロは理由にならないという。

 火力発電の主力燃料、液化天然ガス(LNG)もそう。10〜13年で輸入額は3.5兆円から7.1兆円とほぼ倍増したが、輸入量は25%しか増えていない。飯塚氏によれば、原発の代替火力の増加で日本からの需要が急増したため市況が高騰。これに円安が加わり、高値で買わされたことが輸入額を「水ぶくれ」させる要因になっていると分析する。

そもそも、円安は安倍政権の経済政策で誘導した。本来は、円安が進めば製造業の輸出が増え、貿易収支はいずれ黒字化するはずだったが、輸出は伸び悩み、輸入額を必要以上に膨らませた。