(私の視点)原発のコスト 国富流出の試算に疑問 大島堅一

 2014年9月19日 朝日新聞

経済産業省は火力発電の燃料費が13年度に3・6兆円も増加する見込みという試算を公表した。原発を稼働させず火力に頼ることで、国富が海外に流出しているという印象を内外に広めた。だが、この試算はおかしな点がある。
 化石燃料自体の価格上昇と円安が費用増大の大きな原因だ。原発が停止していることによる直接的影響は費用増のうち3分の1程度である。

 いまだに、「原子力は安い電力だ」と言う人がいるのには驚かされる。
 本当に原発が安いと言い切れるなら、電力会社は事故対策費を含むすべてのコストを自ら負担して原発を稼働すればよい。しかし、そんなことをしたら、原発事業は到底なりたたないだろう。