政府は東電処理を見直せ

2013年9月8日 東京新聞 【社説】
 東京電力福島第一原発の汚染水問題が深刻さを増しています。
 経済産業省は以来、官僚を東電役員に送り込んで、経営を監視してきました。今回の事態はメルトダウン炉心溶融)以来の重大事です。もしも知らなかったとしたら、それこそ大失態でしょう。
 総額四百七十億円を投じて、汚染水対策に乗り出す方針を決めました。財源の半分近くは予備費を活用します。
 予備費は普通の予算とは違って、憲法八七条で「予見し難い予算の不足に充てるため」と厳格に使途が制限されています。たとえば、天災などの復旧費に充てられるのが普通です。
 なぜかといえば、国会の事後承諾だけで政府が勝手に使える予算を野放図に認めたら、民主主義が成り立たないからです。では、汚染水流出は予想できない事態だったか。とても、そうとは言えません。
 税金を使うには本来、大前提があります。事故に無関係な国民に負担を強いる前に、まず東電自身と利害関係者、つまり株主と銀行が負担をしなければなりません。
事態の深刻さを認識して、事故処理の枠組みを根本から考え直す。時間との闘いです。