【犠牲の灯り】 隠されたツケ

 東京新聞 2013年10月1日

各家庭に送られる検針票には再エネ費は記載されているが、バックエンド費の項目は見当たらない

使用済み核燃料の処分や廃炉など原発の後始末にかかるカネのこと。電力業界では「バックエンド」費用と呼ばれている。

結局は電気料金に上乗せされて消費者が負担している。ところが、各家庭に毎月届けられる「電気ご使用量のお知らせ」、いわゆる検針票には項目の記載がない。“ウラ”の代金ともいえる。

「再エネ発電促進賦課金等」という項目ならある。太陽光など再生エネルギーの普及のための費用で、一キロワット時の単価は中部電力管内の一般的な家庭で〇・四二円。東京電力管内では〇・四〇円だ。

原発を抱える電力九社と、日本原子力発電の決算資料から電気料金に隠れたバックエンド費用を調べてみると、東日本大震災前の二〇〇九年度実績で四千三十億円あった。単価にすると〇・四二円。

電気事業連合会は、記載しない理由を「燃料費や人件費など電気料金の内訳を全部示せば、検針票がA3判になってしまうから」(広報担当者)と説明するだけだ。

原発推進のため毎年、4000億円程度の予算を投じてきた日本。福島第一原発事故後も核燃料サイクル事業は堅持され、原発の再稼働も申請されている。