東電、株価急伸の先の長い道のり

2014/6/2 日経新聞

 東電は廃炉費用を2兆円と見積もっている。さらに賠償や除染にも数兆円規模の費用がかかる。14年3月に策定した行動計画「14年度アクションプラン」では、賠償や復興、廃炉といった「福島原子力事故の責任を貫徹するため」の原資として利益を確保することを定めている。
 当面の利益捻出策はコストカットだ。2014年3月期は計画を300億円以上上回るコスト削減を原動力に、連結経常損益で1014億円の黒字(前の期は3269億円の赤字)と3期ぶりの黒字を確保した。
 永遠にコスト削減で利益が生み出せるわけでもない。
 残る道は値上げだ。前期は12年9月に家庭向け電気料金を引き上げたことによる収益押し上げ効果が1000億円あった。4月に東電会長に就任した数土文夫・JFEホールディングス相談役は年明けにも電力料金の再値上げについて判断する考えを示している