電力値上げ 負担軽減に知恵しぼれ

 2014年8月8日 朝日新聞 社説

 北海道電力が申請した電気料金再値上げを審査する経済産業省の委員会が始まった。
 原発依存度を下げていく過程で膨らむコストは、私たちも受け入れる必要があるだろう。しかし、値上げは、家計や企業活動を直撃する。とりわけ、低所得世帯や中小零細企業に与える打撃が心配だ。
 今回の値上げは、燃料費の増加が理由だ。
 それでも、利用者の負担を少しでも軽くするよう努めることが値上げの大前提である。
 たとえば、燃料の購入価格を引き下げるよう交渉で努力しているか、発電効率をあげる取り組みを進めているのか、など厳しく見る必要がある。
 北海道電力原発が動けば値下げするという。しかし、事故を経て、原発は「安くて安定的な電源」とは見なされず、「安全や後始末にお金がかかる電源」へと変質して、再稼働は困難な状況が続いている。原発頼みでは、結局、値上げを繰り返すことにならないか。
 原発が動かないことを前提に、安くて良質な電気を供給するにはどうすれば良いのか、経営の発想を切り替えてほしい。