原発のコストは本当はいくらか

ごまめの歯ぎしり 2014年10月16日号

......ごまめの歯ぎしり メールマガジン版......
       衆議院議員 河野太郎の国会日記
===========================================================
小渕経産大臣の政治資金に関して、国会でも質問が飛んでいる。

もちろん政治資金の流れにおかしなことがあってはならない。し
かし、経産大臣に国会で金の話を質問するならば、もっと突っ込
みどころがあるはずだ。

10月2日の参議院本会議で小渕大臣は、「原発の発電コストは
その他の主要電源のコストと比較しても遜色なく低廉な電源と考
えています」と答弁
している。

本当にそうなのか。

10月8日の参議院予算委員会で、政府は「原発のコストについ
てはキロワットアワー当たり8.9円以上となっておりまして、
その他の電源に比べて低廉なものと認識をしています」と答弁し
ている。

これは福島の事故の費用が5兆8000億円であるとして計算さ
れた数字
だ。2011年のコスト等検証委員会の計算である。

この計算の前提は、福島第一原発の1号機から4号機の4基を除
く50基の原発がすべて再稼働され、その後、40年間稼働する
というものだ。

しかし、実際の福島の事故の費用はこれをはるかに超えている。
立命館大学の大島堅一教授の試算では

損害賠償額 4兆9088億円
賠償対応費用   777億円
除染費用  2兆4800億円
中間貯蔵施設1兆0600億円
事故収束費用2兆1675億円
行政対応費用  3878億円
合計   11兆0819億円

原発の発電コストと経産省が称するものにこの費用を加えたもの
を、50基の原発が40年で発電する電力量で割ると、キロワッ
トアワーあたりの原発の発電コストは9.4円になる。

さらに、これを現実的な試算に置き換えてみる。

現在、我が国にある50基の原発がすべて再稼働するものとする
が、それぞれの原発は建設から40年経ったところで運転を停止
するとして計算すると、11.4円になる。(大島堅一教授の試算
による)

もちろん福島第一原発の5、6号機は再稼働しないし、日本原電
の原子炉も再稼働できないだろう。その他にも再稼働しないもの
は少なからずあるはずだ。

だとすると、原発のコストはさらに高くなる。とてもじゃないが
原発の発電コストはその他の主要電源のコストと比較しても遜
色なく低廉な電源と考えています」などとは言えない。

小渕経産大臣に、国会で、金の質問をするならば、まず、こっち
のほうから質問するべきではないか。

ちなみに
損害賠償額 4兆9088億円 電力消費者負担
賠償対応費用   777億円 電力消費者負担
除染費用  2兆4800億円 支援機構の株の売却益を想定*
中間貯蔵施設1兆0600億円 国民負担
事故収束費用2兆1675億円 電力消費者負担
行政対応費用  3878億円 国民負担

* 国が1兆円で買った東電の株を3.5兆円で売却し、その利
益2.5兆円を充当する。

事故費用のうち、東京電力が自らの利益で負担したのは、災害特
別損失の10−12年度の合計額1兆259億円と新総合特別事
業計画で積み増した1兆円の合計2兆259億円と原子力損害賠
償支援機構への特別負担金だけだという。(大島堅一教授による)

ちなみに2013年度までの特別負担金は500億円。
===========================================================
メルマガバックナンバーはこちら(ブログ版)↓
http://www.taro.org/gomame/index.php

■発行:河野太郎
●購読申し込み・解除:  http://www.taro.org/
●関連ホームページ: http://www.taro.org/
●ご意見・お問い合わせ: http://www.taro.org/contact/

当レポートに掲載された記事は、全文を掲載する場合に限り転載・
再配布できます。
◎ごまめの歯ぎしり
のバックナンバー・配信停止はこちら
http://archive.mag2.com/0000006653/index.html