電力改革 既得権益を打ち破れ

2012年7月16日 東京新聞【社説】
現行の電力制度は家庭や商店向けなどの小口料金にコストをしわ寄せする、不公平で、かつ消費者に対する優しさを著しく欠いた仕組みと言わざるを得ない。
 地域独占や総括原価方式、電力販売の全面自由化、発送電分離は、どれも改革が叫ばれて久しい。
 皮肉にも東電福島第一原発の事故が、それを表舞台に引きずり出す役割を演じたが、いずれも電力会社の既得権益の壁にはね返されてきたのが現実だ。
 原発事故で飛散した放射性物質は十六万人もの人々を故郷から追いやった。原発も、電力の商法も、謙虚さが決定的に欠如している。新たな制度設計は公平さと優しさを理念に貫くべきだ。