東電延命 消費者にツケ 家庭用値上げ8.47%合意

2012年7月20日 東京新聞
値上げ幅の査定では消費者の意見が一部反映されたものの、最後は密室での政治決着に。動かない原発の費用を原価算入に認めるなど不透明さを残したまま、消費者は重い負担を強いられる。
値上げの原価には、他社の原発からの受電がないのに年間一千億円を購入電力料として支払うことをはじめ、動く見込みのない福島県内の六基の原発減価償却費と運転維持費の計九百億円など、根拠が不透明な費用が算入された。専門委に参加した全国消費者団体連絡会の阿南久事務局長は「一般消費者からすると全く納得できず、結論はすっきりしない」と憤る。
 政府は東電に融資した銀行や株主を守るため、本来は破綻状態の東電に資金援助を施し延命させた。多額の原発関連費を原価に認めず損失になれば、国の意に反し東電が破綻する恐れがあり、全く筋の通らない原発関連費用の計上を認めざるを得なかったのが実情だ。消費者はその失策のツケだけを払わされることになる。