福井・敦賀原発:廃炉不可避 

毎日新聞 2012年12月12日
原電「廃炉へ時間稼ぎ必要」
日本原子力発電原子力規制委への対決姿勢を鮮明にしたのは、運転開始から30年に満たない敦賀2号機の廃炉を迫られれば、損失処理で多額の債務超過に陥り、会社の存続基盤を失いかねないためだ。現在の原子炉等規制法では費用分担を含めた廃炉手続きの規定がない。
 原発3基体制の原電にとって、敦賀2号機の廃炉は死活問題だ。経産省の試算では、同社が東海第2、敦賀1号機を含む全3基を廃炉にした場合、設備の資産価値喪失などで2559億円の損失が発生、933億円の債務超過に陥る。運転開始後42年がたつ同1号機と2号機だけの廃炉でも1000億円超の追加費用が発生する見通しだ。

同社は廃炉に向け毎年一定額の積立金を計上しているが、12年末で300億円近くが不足。さらに原発関連資産が無価値とみなされ、その分は株主である大手電力各社に負担が転嫁される可能性がある。各電力会社は費用の一部を電気料金の原価に算入できるため、結局は電気利用者が負担することになりかねない。