原発をめぐる「国家的粉飾」

 古賀茂明「日本再生に挑む」官々愕々
 週刊現代』2013年6月22日号
  http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36087
6月初旬、経産省が、電力会社の原発廃炉費用について、分割処理と利用者負担を認める方針を固めたというニュースが流れた。

廃炉にすることが決まった場合どうなるのか。原発の設備も、使えなくなる使用済み核燃料もただのゴミと同じだから、直ちに損失処理が必要となる。経産省の試算では、日本原電を含めた電力10社で、4・5兆円の損失が出る。その結果、6社が債務超過、つまり破綻するという。経産省は、このことをことさら危機であるかのように喧伝している。
電力会社が債務超過になれば、会社更生法などで破綻処理すればよいだけだ。経営者はクビになり、株は紙切れ、銀行の債権は大幅にカットされる。
破綻処理すれば、株主と銀行などの責任を問うことが可能となり、その分、おそらく5兆円をかなり超える規模で消費者や国民の負担を軽減することができる。逆に、破綻処理をしなければ、株主や銀行を守るために私たちは10兆円以上余計に負担させられることになるのだ。
破綻処理を避ければ、時間をかけて電力料金値上げで消費者に廃炉費用をつけ回しすることができる。得をするのは電力会社と銀行だ。