新・総合特別事業計画を批判する

 電気代不払いタイムス The TEPCO Unpaid Times
 2014年2月17日号 転送/転載/拡散歓迎


 ちょっと時間がかかってしまったけど、
 新しい総合特別事業計画を徹底批判します。
 「脱原発東電株主運動ニュース」より。

新・総合特別事業計画を批判する

 (大富亮/東電を破綻させよう!市民の会、電気代一時不払いプロジェクト)


 本年(2014年)1月15日、政府は東京電力の新しい「総合特別事業計画」を認定した。この計画の問題点をいくつか指摘したい。

 計画の要点は、火力発電の燃料費を圧縮すること、グループ全体で2千人規模の希望退職を募集すること、そして最大の問題は、柏崎刈羽原発の7基ある原子炉のうち、1、5、6、7号機を本年度中に再稼働するとしていることだ。計画には記されていないが、東電は内部文書で「16年度中に全7基再稼働」さえ想定しているという(「週刊金曜日」12月20日号)。

 計画では、こうした「合理化」努力によって収益力を高めるが、もしも原発の再稼働ができなかった場合には、電気料金を最大で10%上げる考えも示している。これは電気代を人質に取った再稼働の脅迫と言ってよい。

 柏崎刈羽原発新潟県中越沖地震で3千カ所を超える損傷や不具合が発生し、その検証すら、福島原発事故で中断している。泉田新潟県知事が、新しい総合特別事業計画を「モラルハザードだ」と厳しく批判しているとおりだ。

 また、今回の総合特別事業計画によって、政府から東電に対する支援はさらに増加することになった。除染費用2兆5千億円と、除染によって発生する廃棄物を一時保管する中間貯蔵施設の建設費1兆1千億円を政府が東電に交付する。

 さらに大きいのは、原子力賠償支援機構を通じて政府が東電に貸し付ける費用の上限を、これまでの5兆円から9兆円に引き上げたことだ。この貸し付けに対する返済の原資は電気料金しかない。

 交付、貸し付け含めて、東電に対しては13兆6千億円もの税金が注入されたことになる。これに対して東電の純資産は8千億円強に過ぎず、とっくに破綻企業と化している。

 東電をめぐる現状はどうか。事故を起こした福島第一原発1号炉〜3号炉は、事故収束どころか、大量の水を注入して核燃料の熱を取る応急処置を続けているだけだ。現場には寿命の短い汚染水タンクが相変わらず作られ、汚染水漏れを止めることもできていない。そして今も、15万人以上の人々が原発事故のために避難生活を余儀なくされている。この人々が新しい土地を得て生活を軌道に乗せなければ、賠償は終わらない。

 事故の収束、賠償、どちらも道のりが見えない状況で、東電は再び原発を稼働しようとしていることになる。

 各種の世論調査によれば、世論の6、7割は原発の再稼働に反対しており、賛成はわずかだ。東電が今やるべきことは、これまでのやり方をずるずる続けるのではなく、すべての原発廃炉にし、その人員を廃炉に充てることだ。また、政府に天文学的な血税を要求するのではなく、まず破たん処理(法的処理)を行い、8兆円の債務を帳消しにする時だ。これは、銀行・株主に投資家としての責任を問うことでもある。

 かりに原発が再稼働できたとしても、そのコストはこれまで電力会社と政府が発表していたような1kWhあたり5.5円ということは決してなく、最近の大島賢一氏、金子勝氏らの試算では少なくとも10円強、イギリスでは原発新設に際して政府が1kWhあたり15円で電力の買い取り保証をするようになっている。原発の高い発電コストは、東電の場合、事故以降投入された13兆円の税金にはっきり現れている。これだけコストの高い発電方法を維持する意味はまったくない。

(「脱原発東電株主運動ニュース」No.235 2014年2月16日より転載)
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