福島第1原発事故 東電VS社員、原発ADR泥沼化 和解拒否1カ月で6件、提訴は2件

毎日新聞 2014年04月16日 

 福島第1原発事故の賠償を巡り、東京電力が先月26日までの1カ月間で新たに6件、国の原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)が提示した和解案を拒否していることが分かった。すべて東電社員と家族の申し立て事案で、訴訟に発展したケースも先月だけで2件あり、他の社員も提訴を検討している。

 男性の代理人を務める荒木貢弁護士は「社員だけが賠償を認められない合理的な理由はない」と話す。
 男性によると、社員差別とも言える会社の対応に、職場を去る若手が相次いでいる。同期入社の友人は「人を人として見てくれない会社で働けない」と言い残して退社した。

 労使の対立とも言える構図だが、東京電力労働組合の動きは見えない。東電労組は取材に対し「賠償は個人の問題なので組合として会社と交渉する予定はない」としている。

原発ADR
 和解案に強制力はないが、東電は今年1月に公表した「新総合特別事業計画」などで「和解案の尊重」を約束している。