原発コスト、国民に転嫁 火力より割高、専門家試算 賠償金、料金原価に組み込み

 2014年6月27日 朝日新聞 3面

 両教授の分析で出た東電の原発事故対策費約11兆1千億円は、民主党政権のコスト等検証委員会が原発の発電コストの計算で使った約5兆8千億円の約2倍だ。

 約11兆円もの事故対策費の負担が国民に転嫁されつつある状況も、両教授は明らかにした。
 例えば損害賠償の費用は、国が必要な資金を東電に用意し、この大部分を業界全体が「一般負担金」として返す仕組み。すでに原発を持つ9電力会社のうち7社が、電気料金の値上げの際に料金の原価に算入している。

 除染費用も、本来国庫に戻すべき政府の東電株の売却益が充てられる。事故炉の廃止費用も会計規則の変更などで電気料金に上乗せされることになった。一方で、東電をつぶさなかったことで株主や社債権者、金融機関が守られる、というゆがんだ構図が続く。