東電支払い、まだ1割 原発事故の自治体賠償 税減収分、算定基準固まらず

 福島民報 2015年5月6日

 東京電力福島第一原発事故に伴う福島県自治体への賠償で、今年1月末までに県内56市町村が計539億6000万円を請求したのに対し、東電が支払ったのは1割の59億2000万円にとどまる。県がまとめた。請求額の多くを占める税の減収分をめぐっては迅速に処理するための算定基準が固まらず、支払いを始められない。市町村は賠償の未払い分を自主財源などで賄っており、今後の財政運営への影響が懸念される。

 一般会計分は51市町村が計438億3000万円を請求したが、支払いはわずか11億7000万円(2・7%)にとどまる。
 郡山市は1月末現在で一般会計分として64億円を請求しているが、東電が支払ったのは113万円のみ。担当者は「県と連携して東電と協議を進めるが、納得できない部分があれば裁判外紛争解決手続き(ADR)による原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立てを検討する」と話す。