消費増税 原発促進税に上乗せ 電気料金転嫁 利用者が負担

2012年8月16日 東京新聞
 原発の維持促進に使われる「電源開発促進税」に関して、消費税増税が強行された場合に新たに利用者の負担が増える問題が浮上している。現在、促進税は電気料金に含まれて利用者が負担する形になっており、消費税が増税されると促進税にも増税分が上乗せされるためだ。東京電力管内では消費税率が10%になると、税金に税金がかけられる「二重課税」の額は現在の二倍の年間百九億円になる。
 促進税は国が電力会社に課すが、電力会社は発電に必要なコストだとして電気料金に転嫁。実際は電気料金を通じて利用者が全額を負担している。
 促進税の税率は、販売電力一キロワット時当たり〇・三七五円。年間三千四百八十キロワット時を使う東電の一般世帯モデルでは年間千三百五円となり、二重課税分は現状の5%で六五・二五円だが、10%だと一三〇・五円に増える。
 一方、ガソリンも同じ構図で、ガソリン税を含む価格に消費税がかかっている。石油連盟など業界団体は「消費税率が10%になれば、ガソリン一リットル当たりの二重課税額が現在の二・七円から五・四円に倍増する」と反発、二重課税の解消を求めている。しかし、東電は「国の制度に基づいており、コメントする立場にない」と、二重課税問題を静観する構えだ。
 東電の値上げ申請で、消費者庁検討チームの委員を務めた日本生活協同組合連合会の小熊竹彦・政策企画部長は「石油業界は市場競争があって税金を価格に転嫁しづらく、二重課税に反対している。しかし、地域独占が認められている電力業界は価格競争がないため反対していない」と批判している。

 <電源開発促進税> 原発を抱える自治体への交付金や、原発新設に向けた積立金など、ほとんど原発の維持促進に充てられる。経済産業省文部科学省天下り団体に資金が流れるなど不透明な支出も多い。東電福島第一原発事故後、政府の政策仕分けで制度の存廃を含めた抜本改革を求められた。