コスト削減怠る温床に 燃料費と連動の『燃料費調整制度』

2013/05/11 東京新聞

 一ドル=一〇〇円の為替水準が定着すると、家庭の電気料金が、一ドル=七九円で算出された二月分の料金と比べて大幅に上がることが明らかになった。電力会社を守るため、燃料価格の変動を毎月、自動的に反映できる「燃料費調整制度」があるためだ。一方で働く人たちの給与は上がりづらく、家庭の負担ばかりが目立つ構図となっている。

 一般企業は厳しい競争にさらされているため、簡単には製品価格を上げられない為替相場や原材料価格の動向に神経をとがらせ、数カ月先まで為替を固定して取引する「為替予約」などで影響を和らげる。しかし、電力各社は競争がないうえ、燃料費調整制度で経営環境の変化から自動的に守られる。東電が「為替予約はしていない」と答えるなど、各社が燃料費を抑えるための努力を怠る要因になってきた。