原発事故賠償 時効延長するしかない

 2013年9月5日 東京新聞 【社説】
 福島原発事故で生じた損害賠償をめぐる懸念が広がっている。東京電力に対する請求権が民法の定める三年の時効で来年三月以降に失効する恐れがある。時効の延長を含めた新たな立法が急務だ。
原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)への八月末までの申し立ては7500件にすぎない。
 日弁連は新たな特別法について、年内に通常の債権と同じ「十年」に延長し、法施行後に賠償の進み具合をみてさらに延長▽甲状腺がんなど健康被害や土壌汚染などの被害は明らかになった時を時効の起点−と主張する。
 忘れてならないのは、東電が債務を認める、被害を与えたと認める十六万人は、実態とはかけ離れて国が線引きした人で、その外側には低線量被ばくにもおびえる膨大な被害者がいることだ。被害の全容はつかめていない。賠償請求の道を閉ざしてはいけない