原発と賠償 救済に誠意を示せ  

 東京新聞【社説】2013年5月27日

 原発事故で被災した福島県浪江町は、町が住民の代理で東電に慰謝料増額を申し立てる。個別交渉の限界を見かねた。賠償には誠意を示さねばならない。

 東電は和解に協力的ではない。仲介委員が示す和解案には強制力がないため、拒絶するケースが目立つ。合意できなければ、被災者は裁判に訴えるしかなくなる。ADRは仲裁や調停の手続きだから、和解案を拒否することはできる。だが、住民側に落ち度はないのだ。「不服なら裁判を」と言わんばかりの東電の態度は誠実さに欠ける。救済を遅らせるばかりだ。