「東電救済=被災民切り捨て+国民負担」 福島原発事故めぐる安倍政権の1年

2013年12月27日 東京新聞【特報面】

「東電は『事故責任』を取らず、被災者は『自己責任』を負わされる。こんな矛盾したやり方はない」。慶応大の金子勝教授(財政学)は皮肉交じりにこう非難した。 今秋以降、政府などが打ち出した福島原発事故についての施策はいずれも、加害者の東電の救済と被災者の切り捨てが前提になっている。汚染者負担の原則などどこ吹く風で、税金や電気料金の形で国民に一層の負担を強いるものばかりだ
 除染費用は、原子力損害賠償支援機構保有する簿価で1兆円分の東電株を将来的に売却して賄う予定。ただ、この株は政府が昨年7月に東電を実質国有化した際に投じた税金の対価だ。本来なら、売却益は国庫に戻して、除染費用は東電に負担させるのが筋だ。
 こうした施策を次々に打ち出した政府の狙いは東電と、東電に出資している金融機関を守ることにあるのは明らか。金子教授は「国が相当の金額を肩代わりするにせよ、東電には10兆円以上の借金が残る。返せる当てなどないのだから、破綻処理しかない。このままのやり方では国民負担がどんどん増えるだけだ」と警鐘を鳴らしている。