東電 除染費負担応じず…13年末以降の計画分

 毎日新聞 2015年12月28日

 国、立て替え200億円

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染の費用負担を定められている東電が、2013年末以降の計画分について環境省の請求に応じない姿勢を示していることが同省などへの取材で分かった。
具体的な対象は、本格化しつつある帰還困難区域の除染で、福島県大熊町で今年着手した同区域の除染で同省が立て替える200億円超も完了後の請求が宙に浮く見込みだ。経済産業省は東電を支持する立場を取り、省庁間の意見の対立も浮上。
最終的に誰が負担するか決まらないまま巨額の国費が投じられる異例の事態となっている。

核燃料サイクルに12兆円 コスト年1600億円 国民負担続く

 2015年11月17日 朝刊

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が廃炉になる可能性も出てきたことを受け、本紙はもんじゅを中核に国が進めてきた核燃料サイクル事業にかかったコストを、あらためて調べた。いずれ必要になる廃炉費用も考慮し集計した結果、少なくとも十二兆円が費やされ、もんじゅが稼働していない現状でも、今後も毎年千六百億円ずつ増えていくことが分かった。実用化のめどのない事業に、巨額の国民負担が続く実態が浮かんだ。 
 核燃サイクルの財源は、税金か、電気料金に上乗せされた分かの違いはあるものの、国民負担であることに変わりはない。
◆見切りつける好機
 <大島堅一・立命館大教授(環境経済学)の話> 実現の見通しが立たない核燃料サイクルに、十二兆円以上が費やされてきた事実は深刻に受け止める必要がある。何も生み出さない事業に、今後も毎年千六百億円ずつ消えていくのは、民間企業ではあり得ず、異常な事態といえる。(もんじゅ問題は)核燃サイクルに見切りをつける大きな好機ではないか。国民も、自分のお金が税金や電気料金の一部として、見込みのない事業に使われている現実をよく考える必要がある。

原子力機構 続く「不透明な契約」 関係企業・団体に222億円

 2015年12月4日 東京新聞

OBらが経営する「ファミリー企業」への不透明な発注が問題視されてきた日本原子力研究開発機構茨城県東海村)が、今年九月末までの約一年間で少なくとも二百二十二億円の業務を、二十八のファミリー企業・団体に発注していたことが本紙の調べで分かった。全発注額の二割近くを占める。あり方を見直すと表明した四年前の二百七十七億円からあまり改善されていない。機構運営費の大半は税金でまかなわれている。 

◆談合といっていい
五十嵐敬喜(たかよし)・法政大名誉教授(公共事業論)の話>
 福島の事故から五年近くになってもいまだ不透明な構図が続く背景には、原子力ムラの復権があり、傷痕に消毒液を塗るような処置だけではもう直せない。国民が、国の不当な支出に対し監査請求ができる仕組みを検討するべきだ。

東電、切り崩し工作? 飯舘村ADR申立人に不当対応

 2015年10月20日 東京新聞

 東京電力福島第一原発の事故で全村避難が続く福島県飯舘村。住民約三千人が、生活基盤が破壊されたとして賠償の増額を求めて、原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し出たのは昨年十一月だった。その後ほぼ一年の間に、東電が申立人に対し「ADR紛争中は直接請求分の賠償金を支払わない」と不当な対応を繰り返していたことがわかった。東電は「業務担当者への周知が不足していた」と非を認めて謝罪しているが、申立人の中には、ADRの取り下げを検討した人もおり、「ADRの切り崩し工作なのではないか」といぶかる声もある。
「担当者はその内容を十分に理解しておらず誤った説明をしてしまった」「深くおわび申し上げます」と謝罪。
 保田弁護士は「間違いといって不当対応を繰り返すのは、集団ADRの切り崩しを狙った嫌がらせではないか」

自殺酪農家遺族、東電と和解=「原発さえなければ」と遺書−東京地裁

 2015/12/01 時事

 東京電力福島第1原発事故の約3カ月後に自殺した福島県相馬市の酪農家菅野重清さん=当時(54)=の妻バネッサさん(37)ら遺族が、自殺は事故で酪農ができなくなったことが原因だとして、東電に約1億2000万円の損害賠償を求めた訴訟は1日、東京地裁(中吉徹郎裁判長)で和解が成立した。

 弁護団によると、東電側から謝罪はないものの、自殺と事故の因果関係を前提として和解金を支払う内容。


■酪農家自殺、東電と和解 原発事故、数千万円支払い
 2015年12月1日 東京新聞

 弁護団によると、東電が遺族に和解金を支払うとの内容。詳しい額は開示しないことになっているが、数千万円とみられる。遺族は和解文書に謝罪の文言を求めたが、東電が拒否し、盛り込まれなかった。

支払い依然1割 財政運営に影響 自治体賠償

  福島民報 2015/11/01

 東京電力福島第一原発事故に伴う自治体賠償で、県内56市町村が請求した553億3900万円に対し、東電が支払ったのは11・4%の62億8900万円にとどまる。事故から4年8カ月近くがたっても東電との交渉は進まず、自治体の財政運営に影響を与えている。

裁判と並行でADR申請 川俣・山木屋原告の12世帯16人

  福島民報 2015/11/05

 東京電力福島第一原発事故の慰謝料を集団訴訟で求めている川俣町山木屋地区の住民が4日、東電に約25億9400万円の財物賠償を求めて原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てた。
 弁護団によると、集団訴訟に進展が見られず、住民の高齢化も進んでいることから早急な生活再建を目指して申し立てに踏み切った。